更新日:2026年01月27日
大学の調理学実習では、栄養や調理技術の習得だけでなく、行事や食文化との関わりについても学んでいます。
行事食には、それぞれの季節や願いが込められており、献立を通して日本の食文化を理解することも、
実習の大きな目的のひとつです。
今回は、後期の実習で取り上げた行事食の中から、重陽の節句、クリスマス、お正月、ひな祭りの4つをご紹介します。
<重陽の節句>
重陽の節句(9月9日)は、五節句のひとつで、無病息災や長寿を願う行事です。
陽(奇数)の最大数である9が重なることから縁起の良い日とされ、菊の花を飾ったり、
菊を用いた料理や菊酒を楽しむ風習があります。
実習では、菊の花を用いた料理を通して、行事食に込められた意味や季節感について学びました。
普段の食生活ではあまり取り扱う機会の少ない菊の花について、下処理の方法や調理法を知り、
食材の特徴を理解したうえで調理することの大切さを学ぶ機会となりました。
献立
菊花ご飯、ぶりの照り焼き、菊花かぶ、ひじきの煮物、菊花豆腐のすまし汁、白玉団子

<クリスマス>
クリスマスは、日本でも特別な日として親しまれている行事です。
この実習では、行事の雰囲気を演出しながら、家庭でも無理なく取り入れられる献立を作成しました。
複数の料理を同時に仕上げる段取りや、限られた時間の中で効率よく調理する難しさを体験することで、
日常の調理にも役立つ多くの学びが得られました。
また、盛りつけや色あいにも工夫を凝らし、食事の「楽しさ」や「わくわく感」を伝えることの大切さを
実感することができました。
クリスマスならではの特別感と、家庭料理としての身近さを両立させた、実りある実習となりました。
献立
ロールパン、ローストチキン-マスタードソース、オードブル3種(卵の詰め物、小エビのカクテル、きゅうりのとびっこ詰め)、
星空のスープ、ブッシュドノエル

<お正月>
お正月の行事食として親しまれている「おせち料理」について学びました。
一品一品に込められた願いや、お祝いの料理として受け継がれてきた背景を理解するとともに、
保存性を考えた調理方法についても学びを深めました。
近年はおせち料理を自宅で手作りする学生が少なく、なかには今回の実習で初めて見る料理もあったようでした。
しかし、実際に調理を体験することで、行事食が持つ意味や日本の食文化の豊かさについて理解を深める良い機会となりました。
伝統を尊重しながら実際に手を動かすことで、食に込められた想いや知恵を学ぶことができた実習となりました。
献立
お雑煮、炒り鶏、伊達巻、紅白なます、栗きんとん、田作り、紅白かまぼこ、黒豆

<ひな祭り>
ひな祭り(3月3日)は、女の子の健やかな成長を願う行事であり、
「桃の節句」として春の訪れを感じさせる行事食として親しまれています。
今回の実習では、茶巾寿司や袱紗寿司、のり巻き、はまぐりの潮汁に加えて、
春の食材である菜の花を使った料理を取り入れ、季節感あふれる献立を作成しました。
色合いや盛りつけにも工夫をこらし、華やかなひな祭りらしさを表現することができました。
調理実習を通して、食材の色あいや組み合わせによって行事食らしい華やかさを表現できることを学びました。
また、さまざまな味付けの和え物を作る中で、調味の違いが料理の幅を広げ、
献立の工夫につながることを実感しました。
さらに、同じ寿司料理でも仕上げ方によって印象が大きく異なることを体験し、
盛り付けや造作の工夫が食事の楽しさにつながることを理解しました。
袱紗寿司や茶巾寿司において、卵の包み方や使い方によって見た目や雰囲気が変化することを学びました。
実習を通して得た気づきや学びは、日々の食事づくりにも生かせる内容ばかりで、
学生にとって貴重な経験となりました。
献立
茶巾寿司、袱紗寿司、のり巻き、菜の花の辛子和え、はまぐりの潮汁、桜餅

4つの行事食をテーマにした調理学実習を通して、行事食の文化的背景や意味を理解するとともに、
季節感を取り入れた献立作成や調理技術について体系的に学ぶことができました。
実際に調理を行う中で、食材の扱い方や調理法、盛り付けの工夫が料理の印象や食事の満足感に
大きく影響することを実感しました。
また、行事食を取り入れることは、栄養面だけでなく、食事を楽しむ気持ちや
食文化の継承にもつながる大切な役割を担っていることも学びました。
1年間の調理学実習を通じて、これらの学びを積み重ねたことは、管理栄養士としての基礎づくりに
大きく寄与したと思います。
調理学実習で得た知識と経験が、今後の専門的な学習や実践の場で存分に活かされていくことを期待しています。